「宇宙人は、実はいました」――西暦2070年、政府がとんでもない発表をした朝、天網市・御統中学に奇妙な転校生(ムリョウ)がやってくる。学ラン詰襟という時代錯誤な格好のムリョウに学級委員・村田始は興味津々。
しかも前日の宇宙人侵略兵器と地球を守る正義の味方(?)との謎の戦いに、ムリョウは何か関係があるらしく……?
ムリョウと生徒会副会長・守口京一との超能力戦を目撃してしまった始。一体生徒会とムリョウ、そして宇宙人騒動との関係は……?
ムリョウの姉・瀬津名が天網市そのものに隠された秘密を語ろうとしたとき、上空に宇宙からの浮遊物体が出現。撃退したのはやはり正義の味方・白い巨人だった。
その夜、謎の白装束が始を襲う――。
女子更衣室から生徒会副会長・森山那由多の服が盗まれる。京一は「一匹紛れ込んでいる。注意しろ」と那由多に警告。
その頃、生徒会書記・守機瞬はムリョウに近づき、ひそひそ話。何かすっきりしない気分の始は、男子便所で黒ずくめの男に襲われる。そこに昨夜の白装束までもが現れ――。いよいよ白い巨人の正体が明らかに……?
天網の民が隠し続けてきた白い巨人・シングウの秘密を目撃してしまった始。その記憶を消そうとする那由多に狙われるが、危ういところで瀬津名に救われる。
そして、真守家当主・百恵の元へ連れて行かれた始が見せられたものは――。さらに町には銀河連邦お墨付き第一級外交官を名乗る宇宙人・ジルトーシュまでが現れ……?
銀河連邦の存在。宇宙人との関わり。天網の民の役割。百恵が施した術によって、様々な謎が一気に始に降り注ぐ。といっても始の悩みは寝不足なことくらい。学園は体育祭準備で活気を増し、町では宇宙人外交官が賑やかに酒盛り、始の妹・双葉はムリョウにひと目惚れ、といたって呑気な日々が続く。
が、危機は確実に迫っている――。
体育祭当日。応援団長・ムリョウ率いる白組と、ムリョウに対抗心を燃やす京一率いる赤組の闘いは白熱。生徒も保護者も誰もが競技の行方に熱中するなか、一人冷静に校内を見回る体育教師・磯崎公美は、宇宙人の偵察ロボットと遭遇する。
磯崎先生の意外な正体。そして宇宙人が狙っているのは、地球に眠るという伝説の……?
体育祭の余韻冷めやらぬ学園では、瞬が特別編集した体育祭映像を校内放送中。ムリョウや京一、生徒会書記・峯尾晴美、そして那由多らの極めつけの赤面映像に、生徒は再び拍手喝采。複雑な思いの晴美と那由多。
一方、町ではザイグル星人・ウェンヌルが政治的亡命を要求、ジルトーシュと同居を始めるという事件が起こり――。
次の文化祭では天網市に伝わる「神輿下ろし」の復活を目論む生徒会長・津守八葉は、始とムリョウを担ぎ出し「祭りクラブ」設立へと動き出す。が、「神輿下ろし」に隠された真の意味を知る那由多は強固に反対。実は、那由多ら生徒会の面々それぞれが不思議な力と使命をもつようになったのには「神輿下ろし」と深い関わりが……?
天網海岸にザイグル星人が上陸。待ち受けていた御統中学教師・山本忠一らに対し、宇宙艦隊ジルトン号艦長・ヴェロッシュはある交渉をもちかける。やはり狙いは、シングウ。
が、意外な告白によって地球の危機は一時的に回避されたかのように見えたが――。一方、「祭りクラブ」の文化祭参加申請書を提出する始に那由多は――。
ザイグル星への帰還途上、爆破されるジルトン号。艦長ヴェロッシュは新たなる敵の来襲を伝える言葉を地球に残す。その脅威を回避するには「空蝉の秘儀」を使うしかない。真守一族の下した決定によって、那由多らは一度は封印した危険な秘儀を行うことに。
そして理由もわからぬまま、儀式の場・天網神社へと導かれて行く始――。
『心を空に飛ばしシングウと成し、螺旋の力によってさらに無限へと飛ばす』――空蝉の秘儀により心を宇宙へ飛ばした那由多。螺旋を支える京一、八葉、瞬。抜け殻となった那由多の手を握り締める始に、晴美は十一年前の空蝉の秘儀の際の悲劇を語り始める。遠く宇宙ではシングウとサナドンとの闘いが激しさを増していた――。
サナドンは何とか撃退したものの、宇宙での戦いの場に生身で現れたムリョウの存在に浮かない表情を浮かべる那由多。が、百年前、シングウとしての力を一人で受け継いだ百恵が謎の少年との間に交わした約束の話を聞いた那由多は、ある決意をする。
一方、天網の民の使命を世界に知らしめるべきか否か、人々の意見はまっ二つに――。
ムリョウ、瀬津名と共に、二人のふるさと「星降る里」を訪れることになった始、那由多、瞬。そして五人を尾行する怪しい人影――。が、「星降る里」は天網の民誕生の謎を秘めた場所。時間と空間を歪ませた特殊な磁場が他者の進入を阻んでいる。
そして、ムリョウの祖父・阿僧祇は那由多に不思議な光景を見せる。